2018年2月28日水曜日

2018/02/28 優しいジャイアンによる生き物紹介 その2『ザゼンソウを見てきました』の巻き

福島生物の水澤です。3日ほど前に、M田君からお便りをいただきました~。
事務仕事に追われてなかなかアップロードできず、ごめんなさい(^_^;
今回はザゼンソウです。マニアックな妄想もあってイイ感じです。
では、いってみましょう!

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M田です。赤城山麓の落窪にあるザゼンソウ自生地に行ってきました。時期的には多少早かったものの、すでに開花している個体も見られました。

去年見に行った時はミドリザゼンソウが比較的多く見られましたが、今回は5、6株程度とあまり多くは見られませんでした。ザゼンソウの仲間は多年草のため、年によって株数が大幅に変わるとは考えにくいです。去年と比べてミドリザゼンソウが少なかった理由として、次のような仮説を立ててみました。

ザゼンソウの方が赤い色素を多く持っているため、ミドリザゼンソウよりも温まりやすく、より早い時期に開花する。今年は例年よりも早い時期に観察に訪れたために、ミドリザゼンソウがまだ十分に開花していなかった。

色素の違いで花期に差が出るのであれば、色素の違いは種の隔離につながり、種の分化にも結びつくのではないでしょうか。この仮説を検証するためには、ミドリザゼンソウとザゼンソウの肉穂花序の発熱は両種間で同様であると仮定して、同一環境下で開花期全体にわたって仏炎苞内の温度変化を計測するという方法が考えられます。もしも、受光による1日の温度変化や花期に有意な差が見出せれば、生態的に見てある程度の隔離がなされていると考えられます。また、ザゼンソウとミドリザゼンソウの中間形があるのは種分化の途上であるからではないでしょうか。これについて何かご意見がありましたら聞かせてください。

ザゼンソウ。そっぽを向いているものが多く、木道沿いから撮影できる個体が少なかったです。この個体は下の草をずらしたら土ごとずれたため、普段は見えない根元部分が露出しています。


ミドリザゼンソウは株が少なく、またあまり大きな個体も見られませんでした。


中間形の個体。落窪の群生地では比較的これが多く見られます。


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面白いですね!こういう妄想は大好きです。ミドリザゼンソウとザゼンソウの温度の比較は、ぜひ調べてみてほしいです。

M田君の仮説は、少なくとも二つのステップに分けて検証する必要がありそうです。
一つ目は、「ザゼンソウとミドリザゼンソウの開花時期は違う」という仮説の検証です。これは開花時期の初めから終わりまで定期的に開花状況を調査すればいいので簡単です。

二つ目は、両種の開花時期に違いがあった場合の話ですが、「両種の開花時期の違いは仏炎苞の温度の違いによって生じている」という仮説です。これを検証するのは難しそうです。両種の温度を同じにしたら開花時期も同じになる、ということが示せればいいのですが、そのためにはどうしたらよいのでしょう。。。

さらに厳密にいうと、三つ目として、「温度の違いは色素の違いによって生じている」ということも検証する必要がありそうです。

。。。と、ここまで書いてきてあれですが、実は、ザゼンソウは温室のように陽の光で温められているのではなく、エネルギーを使って自発的に発熱しているのです。したがって、色素の違いによって受光による温度上昇に差が出て。。。ということにはならなそうです。また、開花をスタートさせるタイミングは開花する前に決まっているはずなので、開花後の仏炎苞の色が開花時期の決定に影響することも考えにくいと思います。


とはいえ、野外の観察から壮大なストーリーを妄想する遊びは私も好きで、よくやっています。楽しいですよね。私はM田君の寄稿を読んで、もし、仏炎苞の発熱量に差があるのなら送粉者相も違ってくるのではないかと思いました。それぞれがどのような送粉者と共生関係にあるのか、とても興味があります。

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